先月あたりに本屋によった際に見つけ、ずっと気になっていた「ダメな統計学~悲惨なほど完全なる手引書」をついに購入してしまいました。
2017年2月時点でAmazon、確率・統計カテゴリ1位を獲得したベストセラーです。
※上記画像はAmazonにリンクしています
内容としては、科学者が陥ってしまいがちな統計の誤用だったり、その原因、なぜ間違いなのかについて書かれています。
この本の原著というか、元となっているものは英語版、日本語版共にオンラインで見ることが出来るみたい。
英語の場合は「Statistics Done Wrong」
日本語の場合は「ダメな統計学」
で検索すれば出てくるので検索してください。ってか、下にリンクつけときますのでクリックすれば飛ぶようになってます。
日本語↓
英語↓
Welcome — Statistics Done Wrong
評価 ★★★★★
アマゾンレビューするなら私は★5つです。
実践向けの統計学書があふれかえる世の中で、統計の誤用という視点から、誤用に文句をいうだけでなく、原因を解説し、防ぐ方法まで説明してくれる良書です。
統計学という分野は非常に応用範囲の広い分野であるのですが、曖昧さをおおいに含んだ分野でもあります。その為、使い方次第で誤解を生むことも多いです。最近はデータ分析がトレンドなためか、Excelで統計みたいな、実際に使う系の本が沢山出ています。また、科学の世界でも統計は必ず使われますが、統計をキチンと学んで使われていることは少ないと思われます。統計を使う場合、既に確立された手法を用いれば良く、また、Excelのようなソフトには統計の機能がついているため、ツールとしての側面が強い気がします。そのためか統計の曖昧な部分について知らずに使い、勘違いを生む原因になっている気がします。
この本では、科学の世界で日常的に使われている統計における、間違いやその原因について分かりやすく解説されています。
この本の目次は以下のようになっています。
- 統計的有意性入門
- 検定力と検定力の足りない統計
- 疑似反復:データを賢く選べ
- p値と基準率の誤り
- 有意性に関する間違った判断
- データの二度づけ
- 連続性の誤り
- モデルの乱用
- 研究者の自由:好ましい雰囲気?
- 誰もが間違える
- データを隠すこと
- 何ができるだろうか
ここで解説される原因は、手法的な面だけにとどまりません。研究者が統計を誤ってしまう環境的背景のような面についても解説されています。また、各章の最後には「ヒント」という項目が設けられており、そこではその章で解説されたダメな統計学を回避する方法を教えてくれています。
また、ページ下部の注釈が結構面白く、本文よりもそっちが気になってしまったりもします。
解説に出てくる論文などは、参考文献のページに網羅されていますのでもっと深く知りたいという人にも親切ですね。参考文献の数は数えてみたら191個ありました(笑)。
対象読者:統計学の経験がある人
数式がガリガリ出てくる本ではなく、ほぼほぼ文章ですので、読みにくいということは全く無いと思います。読み物としての本です。ただ、統計に全く触れたことのない人が読むには、統計用語が頻繁に出てくるため厳しいと思います。
統計学を普段使いしてる人や、統計学を学んでいる学生におすすめだと思います。
感想
私は大学で統計学を専門にすべく勉強しています。その中でいつも考えているのは「統計学が専門」というのはどういうことかということです。統計学はどの分野でも使われています。心理や経済学の学生なんかは統計を頻繁に使うと聞きます。物理なんかもそうですね。実際、日本では統計に関する専門書は、経済学者や、心理学者、物理学者が書いているということも多いです。みんな多かれ少なかれ統計を知っているのです。そしたら、統計を専門にするとはどういうことなのか?他の分野で統計をバリバリ使っている人との差は何所に生まれるのかというのをずっと思っていました。この本はその疑問に対する一つの答えを教えてくれた気がします。統計的手法の成り立ち、理論に精通し、それぞれの手法の留意点を知り、誤りを正せるレベルが求められているんだと私は思いました。一言に統計学と言っても幅広いので全てに精通することは難しいのかもしれませんが、自分が専門とする領域を見つけ、その部分だけでもまずは上記のレベルに達することができればと思います。
「統計でウソをつく法」は「ダメな統計学」ででてくる関連書籍の一つです。