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無限のパラドクス〜数学から見た無限論の系譜〜を読んで

理工系の新書として有名なレーベルの「BLUE BACKS」の本で、足立恒雄先生の著書、「無限のパラドクス」を読みました。

 

この本は、現代の無限論にたどり着くまでの歴史的経緯について非常に簡潔に分かりやすく書かれており、高校レベルの数学の知識があれば難なく読むことが出来ると思います。

 

無限論とは別に読んでいて感動したこと(ライプニッツの夢)

この本の中盤で、ライプニッツ(1646〜1716)の話が出てきます。この本によると、論理学の分野で「AならばB」のように、一般命題に文字をわりあてるのはライプニッツが始めたことだそうです。ライプニッツが夢見たのは「全ての論証を記号化し、算術問題に還元すること」。これを実現すると、裁判などで、データを投入するだけで後は計算機が計算して公平な判決を下してくれる。このような事を夢見ていたそうです。

少し前ならば、なんて夢物語なのだろうと私も思いました。しかし、人工知能、バックデータ解析といった用語がトレンドな現代、ライプニッツの夢見たことは現実味を帯びてきています。将来的にコンピュータに仕事を奪われると予想される職業に「弁護士」が入っているのですから。

 

人工知能が判決を下す。なんか、少し前のノイタミナのアニメで「PSYCHOPATH」という作品が人気を博しましたが、それを思い出します。警官の持つ拳銃型の「ドミネーター」という武器が、対象者の犯罪係数を算出し、その数値を元にその場で刑が執行されます。この犯罪係数が高いとその場で死刑執行も行われます。この世界はコンピュータ(最後にその中身も明かされる)に支配された人間の物語とも言えます。興味がありましたら見てみてください。映画化もされていた...かと思います(多分)。

 

科学が発達し、SF作品なども豊富な現代でこそ、想像のつくような世界を400年前の偉人が夢見ていたというのは想像もつきません。現代に生きる人々の中にも、私たちが理解出来ない様な未来をイメージして研究に取り組む天才もいるのかもしれないと思うと、私たちが夢物語だと思っていることも、500年も経てば現実化してるんでしょうか。最も最近の技術革新は10年前には映画の中の事だったことが当たり前のように行われるような進歩の仕方をしているので、それ以上となるとやはり想像できません(笑)。

 

なんだか、最終的に書評でもなんでもない所に帰着しましたが、興味深い本でしたので是非オススメしたいと思います。

 

また、著者の無限に関する本として別に「無限の果てになにがあるか」というものもありますのでそちらも読んでみてください。共に興味深い内容となっています。